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興味深いこと話のほかで、一読びっくりした。かつての「江戸ブーム」とは何の関係もない歴史書の名著。江戸氏という豪族が、江戸の名を残したことは知っていたが、この連中が、職能集団で、深く内陸に入り込んだ洲や河川を縦横に行き交う産業体~コングロマリットであったことを知った。その機能性は容易にまねできぬため、鎌倉幕府も容易に手がつけられなかったが、やがては、駆逐されていく。室町時代に、有名な大田道灌が、じつは、武士といっても、江戸幕府以前のそれであって、傭兵を雇い入れて地域を武力弾圧する暴力団と大差なく、「豊島区」に名を残している豊島氏を「皆殺しにした」。しかし、利害が細かく入り組んだ、江戸を中心にした関東は、江戸氏の手腕が尋常でなかっただけに、後進の大田道灌も結局手におえず暗殺されてしまう。一方、荘園としてのこの地域は「円覚寺」の所領であり、その年月は江戸幕府に匹敵するながきにわたっていることも知って驚き。徳川家康が、結局、円覚寺の権利を横領したことなども知った。「池」とは海から上がる水の緩衝地帯としての水溜りで(「溜池」「お玉ヶ池」など)、「淵」とは川からの水の緩衝地帯(千鳥が淵)と言うことも知った。全編、資料の渉猟と、各時代の海岸線や河川の動きに入念な説明があり、江戸期は、水の確保(そのためにまっすぐなメインストリートが出来なかった)、度重なる大火による復旧と寺社の移動など、履歴が細かく語られる。江戸の相貌が仔細に描かれ、しかし、資料に淫せずメッセージとして読者に伝える著者の手腕は凄い。素人にも史料から歴史への醍醐味を体験させてくれる。
江戸はこうして造られた―幻の百年を復原する (ちくま学芸文庫) PR |
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