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2010年9月。折しも検察特捜部により「郵便不正事件」で起訴された厚生労働省村木厚子元局長(休職中)に対する地裁判決が下され、検察特捜部の主張したストーリーは虚構として完全に否定された。しかし、その直前、国策捜査によりねらい打ちされた鈴木宗男議員は外務省関連で立件出来ないため受託収賄で有罪判決となり、上告が棄却されて失職・収監が決った。これらの関係者による供述調書の作られ方はまさに本書の中にあった。
「大逆事件」は明治政府による思想弾圧であり、でっち上げであることが本書から容易に理解出来る。遺族や出獄者の悲惨な生活は悲痛の思いなしには読めない。ただ、平出修の業績や徳富蘆花の勇気を知り得る事は貴重だ。戦後に出獄者坂本氏による再審請求が棄却される経緯は、戦後の司法が戦前からの残滓を引きずっていることを明示している。マスメディアの追究不足は戦前戦後ともにいらだたしい。一部に被害者の名誉回復の動きが出ているのは救いだ。 著者は元新聞記者だけあって流麗かつ具体的な文章だ。しかし文中の姓名が初出だけ肩書があっても「上野」のように繰返されるのは分りにくい。おまけに活字が肉細の明朝体(引用は教科書体で区別しやすい)で、改行が少なく、小見出しもないので、活字の密集したページ面が多い。読者にとっては読むのに苦労させられる。 被害者など関係者の肩書付一覧表と関係を示す図表があればもっと読みやすく、分りやすかったと思う。 大逆事件――死と生の群像 PR |
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