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「寛容」がローマ繁栄の最大の要因であったにも関わらず、なぜ西洋はキリスト教文化になっていったのか。キリスト教の国教化がローマ帝国の衰退自体を引き起こしたのではなかったか。そしてキリスト教の勝利が暗黒の中世時代を生み、人類の発展を大きく阻害したのではなかったか。
年に1度のお約束。塩野七生の「ローマ人の時代」文庫版が発行される季節が今年もやってきた。今回は38~40号で、年代としては4世紀中から後半。ミラノ勅令によりキリスト教を公認したコンスタンティヌス大帝の後、皇帝コンスタンティウス、背教者ユリアヌス、そして皇帝テオドシスに至る間の時代を描写している。ただし、第1部、第2部のタイトルにはそれぞれの皇帝の名前がつくが、第3部のタイトルは「司教アンブロシウス」。ついにローマ帝国はキリスト教の司教が皇帝の裏で実権を握る時代となっていく。 キリスト教とは何だったのか。免税措置などでキリスト教信者を優遇した結果、利を見るに早いローマ市民はこぞってキリスト教徒に改宗していった。しかし皇帝がキリスト教に改宗したのはなぜか。ミラノ勅令では、キリスト教を優遇したのではなく、迫害を止め、信教の自由を認めたに過ぎない。しかし、皇帝が皇宮の中で宦官らの取り巻きによって政治を行うようになると、そこから帝政の腐敗が始まり、キリスト教がそこに食い込んでいった。 そしてローマ帝国はついに終焉の時を迎える。いよいよ次巻は「ローマ世界の終焉」で最後となる。キリスト教に蝕まれたローマ帝国がいかに滅亡していくのか。また来年を楽しみにしよう。 ローマ人の物語〈38〉キリストの勝利〈上〉 (新潮文庫) PR |
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