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【2026/06/14 02:00 】 |
ローマ人の物語〈37〉最後の努力〈下〉 (新潮文庫) | ヨーロッパ中世への転換 コンスタンティヌス帝
前巻の最後の努力(中)に続いて、コンスタンティヌス帝の時代を描く。

40年ぶりの唯一の皇帝となった彼が行ったこと。それは、新しい首都、新しい政治体制、新しい宗教による新しいローマ帝国を築くことであった。



しかし。これは、ローマ帝国の大きな変質であり、この変革によりヨーロッパ世界は俗に言う中世へ踏み出して行くことになるほど、インパクトのある施策となった。



まずはビザンティウムに新都コンスタティノポリスを建設。旧勢力の元老院はじめ従来の有力者が残るローマを離れ、建国以来のローマ帝国の支柱であったローマ伝統の神々(神殿)の存在意義を徐々に消してしまう。



また、ローマを離れることで元老院の立法機能を取り上げ、単なるチェック機能に変えてしまう。これにより、皇帝が自らの意志で法律を好きに改廃できる権利を有することが出来るようになった。また、軍人と元老院の相互の人材の交流によって、次世代のエリートを育てていた人材プール、養成の場としての機能も失われ、軍人と有力民間人の分離が急速に進んだ。



宗教でも、ローマの神々からキリスト教への転換を図る。

元首政時代のあくまで元老院から委託されて政治を司る代表、人間として皇帝から、キリスト教の権威付けの元、神の意志をうけた司教から選ばれ皇帝となったという図式を目指した。後の王権神授説に近い。

皇帝は、自らの地位の正当化のために、キリスト教への援助を実行する。キリスト教の司教達が望む資産を与え、税の免除などにより他の宗教に優越する特権を与え、少数派であったキリスト教信者の増加をもくろむ。そして、自らは司教を公会議などでコントロールした。



さらに、蛮族の侵入から帝国を守ってきた絶対防衛線には、農民を監視役としてアルバイトで雇いながら、侵略の後に皇帝直轄軍が反撃に出ればよいと言う絶対防衛から侵略後の反撃という大きな考え方の転換を行う。これにより、各地域に大きな軍団を養う考え方から皇帝直轄軍を強化し、合わせて国内へにらみをきかせる皇帝による軍の私物化が実行される。



世界史ではコンスタンティヌス帝は確かに、重要な人物として習った覚えがあるけれども、何故それ程までに取り上げられるのかは、よく理解していなかった。しかし、これらの施策を読み、キリスト教の大幅な強化、生き残りに如何に貢献したかを見ると、現在の世界史観の土台をなす欧米歴史観の元となるキリスト教、それへの多大なる貢献をみれば、納得が行く。著者の塩野さんが書くとおり、ここまでしても、結局ローマ帝国は後100年程度しか持たなかった。歴史の真実は、厳しい。

ローマ人の物語〈37〉最後の努力〈下〉 (新潮文庫)
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【2010/11/03 15:20 】 | 未選択 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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