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これは歴史小説ではない。ノンフィクションでもない。歴史を振り返りながら、自分の考えをエッセイ的に織り交ぜた実に不思議な読み物である。「ローマ人の物語」とは実に考え抜かれたタイトルということができそうだ。
第一作はローマ建国から第一次ポエニ戦役直前までの五百年間を取り上げるとあり、実に長期間であるが、文庫本では[上][下]に分かれているので、実際には紀元前七五三年から前五世紀半ばまでである。 主に王制ローマの7人の王について駆け足で紹介している。 建国の父ロムルスが政体確立につづいて行った第二の事業が、「他民族の女たちを強奪すること」というから驚きだ。「祭りの気分も高潮した頃、ローマの若者たちはサビーニの若い女たちに襲いかかった」という。 第六代のセルヴィウスが自分の二人の娘を先代のタルクィニウスの二人の孫と結婚させるのも面白いが、セルヴィウスの娘が自分の夫をたきつけて父を追い落とし、父である王の最期は自らの馬車で轢いたとあるから、遠いおとぎの国の物語にしか聞こえない。 最後の王タルクィニウス(先代の孫)は、市民集会での選出も元老院での承認もなく王位に就いたとあるから、なぜそれで25年も王で居続けられたかは不思議である。 共和制ローマの記述は時間にしてわずか6年である。しかし、初代執政官であるルキウス・ユニウス・ブルータスや、ヴァレリウス・プブリコラの逸話も面白い。 ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) 新潮文庫 PR |
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